梅毒の減少幅が縮小も…ここにきて悪化が目立つエリアは?
国立感染症研究所は17日、感染症発生動向調査(IDWR)速報データ第36週(9月2日~9月8日)を発表した。
梅毒の新規感染報告件数は新たに211件が報告され、今年の累計数は9847件となった。過去最多を記録した前年同期の1万396件に比べて、マイナス549件となった。第34週がマイナス660件、第35週がマイナス597件だったことから、全国の梅毒の新規感染報告数の減少幅はここにきて急速に縮小していることが明らかになった。
前年同期比で減少数が目立つのは、北海道(マイナス147件)、広島(同114件)、大阪(同101件)、愛知(同47件)、東京(同46件)。増加が目立つのは神奈川(プラス64件)、岡山(同38件)、茨城(同37件)、栃木(同19件)、大分(同13件)。
なお、第35週までの累計数と比べて減少幅が大きいのは、東京、福岡、神奈川で、改善が目立つのは大阪、静岡だった。 性感染症の専門医で「プライベートケアクリニック東京」新宿院の尾上泰彦院長が言う。
「役所や既存メディアを通じた梅毒予防キャンペーンは一定の成果があり、それが全国の新規感染件数報告者数の減少にあらわれていると思います。しかし、ここにきて減少幅の縮小あるいは増加数拡大が目立つエリアが出てきたのは、役所のホームページや動画、テレビや雑誌、SNSといった既存メディアを通じたキャンペーンが及ばない、新たな梅毒感染予備軍の層が拡大しているせいかもしれません。それは、生活苦からSNSなどを通じて簡単に売春に走る男女が増えているからではないでしょうか。例えば知らず知らずのうちに人身取引(性的サービスや労働の強要等)の被害者になったり、円安により金銭目的で外国人相手の短期的交際を自ら求める男女が増えているとも考えられます」