がんを調べる線虫検査…多施設調査で分かった陽性的中率の低さ
がんを調べる検査はさまざまです。X線やCT、MRI、超音波など一般の方にもおなじみのものから、最近は血液や尿での手軽な検査を打ち出しているものも登場しています。そんな中、線虫を用いたがん検査「N-NOSE」を巡って、多施設調査の結果が発表されたのをご存じでしょうか。今回はそれを掘り下げます。
N-NOSEは、線虫ががん患者の尿のにおいに反応する性質を利用し、早期から15種類のがんをA~Eの5段階にリスク判定します。「D~E」は「がんリスクが高い」とされますが、どの臓器かは分からないため、判定された人は別の病院などでCTやPETなどで再検査を受けることになります。
が、N-NOSEで高リスクでもPETでがんが見つからないことが相次ぎ、研究チームがPET検査と比較する全国調査を行い、その結果がまとまったのです。結論からいうと、N-NOSE高リスク判定者のうち15種類のがん発見数は10人で、「陽性的中率」は0.95%でした。
一般に検診は、その病気かどうか分からない人が受けるものです。しかし、今回のPET検査はN-NOSEで高リスク判定を受けた人で、一般の集団よりがんリスクが高い人が集まっていると想定されますが、1%を下回る陽性的中率は低い数値で、その点を調査結果をまとめた論文でも指摘しています。論文の結論は、検診としての有効性は限られるということです。