オレキシン受容体拮抗薬が示す不眠治療の新たな展望…24年末に新薬登場
オレキシン受容体拮抗薬の代表的な副作用として、傾眠、悪夢、倦怠感、口渇などが挙げられます。ただし、オレキシン受容体拮抗薬を服用していても、転倒や骨折のリスクとは関連しない可能性を報告した研究もあり、ベンゾジアゼピン系薬剤と比べても安全性が高い薬剤といえるかもしれません。また、オレキシン受容体拮抗薬は、ベンゾジアゼピン系薬剤やZ-ドラッグと比べて依存のリスクが低いと考えられています。そのため、国内におけるオレキシン受容体拮抗薬の処方量は急増しています。
2009年4月1日から20年3月31日までの間に処方された睡眠導入剤について、その処方傾向を調査した研究結果が報告されています。健康保険データベースを用いたこの研究では、睡眠導入剤を新たに処方された13万177人と、長期にわたって睡眠導入剤を使用していた9万1215人が解析対象となっています。
解析の結果、睡眠導入剤を新たに処方された人のうち、ベンゾジアゼピン系薬剤が処方された患者の割合は、10年の54.8%から19年の30.5%へと減少していました。一方、オレキシン受容体拮抗薬が処方された患者の割合は、14年の2.3%から19年の20.2%と、約10倍も増加していました。長期にわたって睡眠導入剤を使用している人においても、ほぼ同様の傾向が認められました。