福島県沖地震で最大「階級4」を観測…長周期地震動が続けば都市部のタワマンは大丈夫か
宮城、福島両県で16日夜に最大震度6強を観測した地震。北海道から関東、東海まで揺れ、大規模な停電が起き、脱線事故で東北新幹線は全面復旧が4月以降になるという。
震源は福島県沖の深さ57キロ、マグニチュード7.4と推定される。気になったのは「長周期地震動」で、4段階中最大の「階級4」が観測されたこと。長周期地震動は震源の深い規模の大きな地震で起きやすく、高層ビルなどの高い建物に、長い大きな揺れを生じさせる。「階級4」の宮城県北部は、高層階では、這わないと動けないほどの揺れだったとみられる。
そこまでの大きさではないにしろ、東京などのビルでも、ゆったりとした揺れが1分以上続き、不安になった人も少なくないはずだ。
向こう1週間ほどは同程度の地震に注意するよう気象庁が呼び掛けている。長周期地震動が続いたら、都市部に林立するタワーマンションは大丈夫なのだろうか。
エアコンが5メートル飛ぶことも
「エレベーターが止まったり電源喪失で電気や水道が止まることはあっても、違法建築でもない限り、長周期地震動で建物がダメージを受けることはありません。気をつけなければいけないのは、家具などが大きく動く恐れがあること。エアコンが落ちてきて、5メートルくらい飛ぶこともあります。オフィスならコピー機などが部屋の隅から隅まで移動したりする。ぶつかってケガをしないようにして下さい」(立命館大学環太平洋文明研究センター教授・高橋学氏=災害リスクマネジメント)
ただ、建物自体の骨組みは壊れなくても、古いマンションやビルなどだと外装パネルやタイル、窓枠などが変形することはあり得るという。
建築エコノミストの森山高至氏がこう言う。
「東日本大震災や2016年の熊本地震で、建築業界では長周期地震動が意識されるようになりました。というのも、建物の構造上は問題なくても、外装パネルなど周囲のものが地震に耐えられず変形し、『使用不可』となる建物がいくつも出たからです。骨組みだけでなく、周囲の変形も抑えようというのが最近の考え方です」
長周期地震動により、船酔いしたような気分の悪さを感じることもある。さらには、震源から遠い地域なのに、長周期地震動の影響が大きくなることもあるという。意識して注意したい。