ペットのがん手術どうする? 適切な選択肢の提案で飼い主の決断をサポート
一方、かかりつけのワンちゃん(14歳)にも、口に同様の病変が見つかりました。咀嚼のしにくさや痛みなどの症状と診察結果からは、メラノーマが濃厚でした。前のネコちゃんとの違いは、加齢による軽い心臓の症状と歯石の沈着で定期的に診察する過程で見つかったもので、早期だったことです。
2つのケースで切除したのは、後者でした。飼い主さんには麻酔下での手術は心臓への負担が大きく、麻酔後に亡くなるリスクもある一方、そのリスクを乗り越えると、寿命が延ばせる可能性があること。それをきちんと説明した上で、飼い主さんも納得されて手術しました。
見た目は1センチほどあった腫瘍は、上顎への浸潤がひどく3倍近くありましたが、無事に手術は成功。術後は口の消毒をしながら、再発防止のインターフェロン注射を並行し、経過観察しています。心臓の悪化は今なお心配材料ですが、痛みなく食餌を食べやすくなったのは何よりでしょう。
冒頭のネコちゃんにも同様のリスクとメリットを説明した上で、飼い主さんは切除をしない選択をされました。手術はできなくはありませんでしたが、ワンちゃんより腫瘍が大きかったため、その分リスクもより大きかったこともあります。