ファンケル、ライオン…社員の「がん対策」に熱心な企業の充実メニュー

公開日: 更新日:

オズワルド畠中はPETで偶然、腎臓がんを

 腎臓がんであることを公表したお笑いコンビ・オズワルドの畠中悠は、先月29日に手術を終え、今後は7日までに退院するという。36歳の働き盛り。早期発見は何よりだが、男性は3人に2人、女性は2人に1人ががんになるだけに人ごとではないだろう。そんな中、社員のがん対策に力を入れている企業もある。

 ◇  ◇  ◇

 畠中は昨年11月、具合が悪そうな友人を引き連れてPET検査を受診したところ、友人は何ともなく自分に再検査の通知が届く。多忙な年末年始を避けて今年1月、精密検査を受けると、腎臓にがんが見つかった。がんは幸い早期で、医師には「むしろこの時に発見されて、本当にラッキーです」と励まされ、先月29日に行われた手術は予定より短い時間で終了したという。

 不健康そうに見えた友人を気づかったつもりで検査を受けたら、自分にがんが見つかるとは不幸中の幸い。友人が不健康そうでなければ、「オレはPET検査は受けなかった」と語っていて、不健康そうな友人に感謝しきりだ。芸人仲間やファンに向けて検査の重要性をPRする。

 畠中は芸人だが、今回のケースをサラリーマンに置き換えると、バリバリの働き盛りでのがん治療ということになる。実は現役世代のがん発症は今後さらに増えるとみられるだけに、サラリーマンは仕事と治療の両立が欠かせないという。東大大学院医学系研究科総合放射線腫瘍学講座の中川恵一特任教授が言う。

「生涯に1度はがんになる確率は男性65%、女性51%です。このがん大国で高齢化はさらに進んでいて、定年延長も重なります。64歳以下の現役世代のがん患者は全体の3分の1程度ですが、今後働く世代がさらに増えるのは間違いありません。企業ががん対策を充実させることは、ますます重要です」

 そんながん対策の柱のひとつが、がん検診受診率の向上だ。胃がん肺がん大腸がん乳がん、子宮頚がんの5つについては、自治体のがん検診で無料で受けられる。

 一方、サラリーマンは労働安全衛生法で1年に1回の健康診断が義務づけられている。企業によっては、その健康診断にセットでがん検診を組み込んでいるケースもあるという。

 厚労省は2009年に委託事業でがん対策推進企業アクションをスタート。職場でのがん対策のテコ入れを図る試みで、がん対策の啓発として加盟する企業の従業員は無料で対策冊子をもらえたり、がんの仕組みや治療について動画で学べたりする。がんサバイバー15人による出前講座も受けられる。そうやって経営陣や従業員のがん知識を高めることで、検診受診率の向上や仕事と治療を両立する環境づくりに励んでいるという。

 その企業アクションは3月1日、加盟企業の中からがん対策に力を入れている企業を発表。厚労大臣賞のほか検診部門賞、治療と仕事の両立部門賞などの企業5社を表彰した。

■関連キーワード

最新のライフ記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 暮らしのアクセスランキング

  1. 1

    「高額療養費」負担引き上げ、患者の“治療諦め”で医療費2270億円削減…厚労省のトンデモ試算にSNS大炎上

  2. 2

    20代女子の「ホテル暮らし」1年間の支出報告…賃貸の家賃と比較してどうなった?

  3. 3

    “かつての名門”武蔵の長期低落の深刻度…学習塾「鉄緑会」の指定校から外れたことも逆風に

  4. 4

    「高額療養費制度」見直しに新たな火種…“がん・難病増税”に等しいのに、国家公務員は「負担上限」据え置きの可能性

  5. 5

    論争になった“おじさんパーカ”より「生理的に無理」の声が出たビジネスシーンでのNGアイテムは?

  1. 6

    「フジ日枝案件」と物議、小池都知事肝いりの巨大噴水が“汚水”散布危機…大腸菌数が基準の最大27倍!

  2. 7

    “ホテル暮らし歴半年”20代女子はどう断捨離した? 家財道具はスーツケース2個分

  3. 8

    「ホテルで1人暮らし」意外なルールとトラブル 部屋に彼氏が遊びに来てもOKなの?

  4. 9

    日本で犬肉食の実態は本当にあるのか調査 デヴィ夫人新党が「犬猫食禁止法」成立を看板政策にブチ上げ物議

  5. 10

    鬼怒川温泉の渓谷に張り付く巨大廃墟群を探る…残された「バブル遺構」が物語るかつての栄華

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    野村監督に「不平不満を持っているようにしか見えない」と問い詰められて…

  2. 2

    「高額療養費」負担引き上げ、患者の“治療諦め”で医療費2270億円削減…厚労省のトンデモ試算にSNS大炎上

  3. 3

    萩原健一(6)美人で細身、しかもボイン…いしだあゆみにはショーケンが好む必須条件が揃っていた

  4. 4

    おすぎの次はマツコ? 視聴者からは以前から指摘も…「膝に座らされて」フジ元アナ長谷川豊氏の恨み節

  5. 5

    “年収2億円以下”マツコ・デラックスが大女優の事務所に電撃移籍? 事務所社長の“使い込み疑惑”にショック

  1. 6

    歪んだ「NHK愛」を育んだ生い立ち…天下のNHKに就職→自慢のキャリア強制終了で逆恨み

  2. 7

    僕に激昂した闘将・星野監督はトレーナー室のドアを蹴破らんばかりの勢いで入ってきて…

  3. 8

    日本にむしろ逆風…卓球王国中国で相次ぐトップ選手の世界ランキング離脱と進む世代交代

  4. 9

    「(来季の去就は)マコト以外は全員白紙や!」星野監督が全員の前で放った言葉を意気に感じた

  5. 10

    迷走するワークマン…プロ向けに回帰も業界では地位低下、業績回復には厳しい道のり