大阪万博は防災対策も不安だらけ…南海トラフ地震でも「夢洲は液状化しない」大甘想定だった
液状化の予測に至っては、〈会場の大部分は液状化が起こらない想定となっている〉と主張してはばからない。大阪万博問題を取材するジャーナリストの木下功氏は「正確性を欠いている」と指摘して、こう続ける。
「万博会場の跡地に開業予定のIR(統合型リゾート)のための地盤改良工事で、大阪市は液状化対策などに最大788億円の公金をつぎ込むことを決めています。そもそも市は夢洲は液状化しないとの想定でしたが、IR業者からリスクをツッコまれて対策せざるを得なくなったのです。実態を反映していない予測を出すこと自体、おかしな話なのに、避難想定もおかしい。基本計画では、発災時に夢洲から隣接する舞洲や咲洲への避難が想定されています。ところが、夢洲に比べて〈咲洲及び舞洲に関しては、液状化が起こる可能性が高い〉と予測している。つまり、液状化の可能性が低い場所から高い場所へ避難することになっているのです」
協会は「実施計画」に基づき、具体的な避難計画を策定中。「今年夏ごろ」に終わるはずが、9月に先送りとの見通しも浮上している。実効性のある対策を出せるのか見ものだ。