著者のコラム一覧
畠山理仁フリーランスライター

1973年、愛知県生まれ。各地の選挙現場を訪れ、面白さを伝える「選挙漫遊」の提唱者。著書「黙殺 報じられない“無頼系独立候補”たちの戦い」で第15回開高健ノンフィクション賞。「コロナ時代の選挙漫遊記」など著書多数。

【東京都知事選】56人が立候補…N党のジャックでポスター掲示板はカオスと化した

公開日: 更新日:

選挙の公平性にも疑義

 選挙の公平性を考えれば、届け出順で差が出てしまうのは大問題だ。小林氏は当初、「逆に目立っていい」と言っていたが、選挙後には都選管に対して選挙無効の異議を申し立てた。

 同時に選挙費用2000万円の損害賠償を求めて提訴した。他候補も都選管に対して類似の訴訟を提起した。

 もう一つ問題になったのが、政治団体NHKから国民を守る党(以下、N党)による「掲示板ジャック」だ。N党は公認候補19人と関連候補5人の計24人を擁立してポスター枠を確保。この枠にポスターを張る権利を同党に寄付した人に譲渡したため「事実上の販売」と問題視された。

 N党の掲示板ジャックは来年夏に行われる参院選で国政政党になるための前宣伝という位置付けだ。N党候補のポスターが張られるはずの枠には選挙とは全く関係がない風俗店などのポスターが張られた。また、N党以外にも「ほぼ全裸の女性」のポスターを張って大問題となり、張り直しに追われる候補者も出た。

 今回、N党関係候補24人が収めた供託金の総額は7200万円。一方、ポスターを張る権利のために同党に寄付された金額は約550万円(約1000カ所)。N党の収支は完全なる赤字だ。

 もし、掲示板ジャックがビジネスとして成立していたら、同様の手口が繰り返された可能性がある。有権者の良識がなんとか示された形だ。 (つづく)

■関連キーワード

最新のライフ記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 暮らしのアクセスランキング

  1. 1

    大阪・関西万博“裏の見どころ”を公開!要注意の「激ヤバスポット」5選

  2. 2

    大阪万博ハプニング相次ぎ波乱の幕開け…帰宅困難者14万人の阿鼻叫喚、「並ばない」は看板倒れに

  3. 3

    大阪万博メディアデー参加で分かった…目立つ未完成パビリオン、職人は「えらいこっちゃ」と大慌て

  4. 4

    テレビでは流れないが…埼玉県八潮市陥没事故 74歳ドライバーの日常と素顔と家庭

  5. 5

    「2025年7月」に大災難…本当にやってくる? “予言漫画”が80万部突破の大ベストセラーになったわけ

  1. 6

    大阪万博の今後に大きな不安…初日来場者11.9万人は「最大想定の半分」なのにトラブル続出のア然

  2. 7

    兵庫県職員新規採用「辞退率46%」の異常事態…知事のパワハラ疑惑が原因なのか?昨年は25.5%

  3. 8

    (4)多くの農家が潰れるから企業参入促進というおかしさ 間違った「議論の前提」が稲作を崩壊させる

  4. 9

    昭恵夫人に一私人らしからぬカネと力が… 安倍元首相の政治資金「2億4000万円」を“抜け道相続”していた

  5. 10

    仕事が続かない家族を…「45歳の姉を結婚させてください」入会金や月会費を支払う30代の妹

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「とんねるず」石橋貴明に“セクハラ”発覚の裏で…相方の木梨憲武からの壮絶“パワハラ”を後輩芸人が暴露

  2. 2

    今思えばゾッとする。僕は下調べせずPL学園に入学し、激しく後悔…寮生活は想像を絶した

  3. 3

    参院選で自民が目論む「石原伸晃外し」…東京選挙区の“目玉候補”に菊川怜、NPO女性代表の名前

  4. 4

    NiziU再始動の最大戦略は「ビジュ変」…大幅バージョンアップの“逆輸入”和製K-POPで韓国ブレークなるか?

  5. 5

    フジテレビ問題「有力な番組出演者」の石橋貴明が実名報道されて「U氏」は伏せたままの不条理

  1. 6

    サザン桑田佳祐の食道がん闘病秘話と今も語り継がれる「いとしのユウコ」伝説

  2. 7

    我が専大松戸の新1年生は「面白い素材」がゴロゴロ、チームの停滞ムードに光明が差した

  3. 8

    逆風フジテレビゆえ小泉今日子「続・続・最後から二番目の恋」に集まる期待…厳しい船出か、3度目のブームか

  4. 9

    新沼謙治さんが語り尽くした「鳩」へのこだわり「夢は広々とした土地で飼って暮らすこと」

  5. 10

    石橋貴明のセクハラ疑惑は「夕やけニャンニャン」時代からの筋金入り!中居正広氏との「フジ類似事案」