「ベネフィット・ワン」めぐる熾烈TOB合戦の行方…「第一生命」「エムスリー」両社の狙いは
1800円以上──パソナグループ傘下の福利厚生代行サービス最大手、ベネフィット・ワンにTOB(株式公開買い付け)を実施中の医療情報サイト運営のエムスリー。これに対し先週、対抗TOBを突き付けた第一生命ホールディングスが打ち出したTOB価格の水準だ。エムスリーによるTOB価格1600円を最低でも200円上回る。
しかも1800円ではない。「以上」だ。「仮に価格の釣り上げ合戦になっても『簡単にゲームを降りたりはしませんよ』という意思表示でしょう」。金融筋のひとりはこうみなす。第一生命が描く「想定上限ライン」と取り沙汰されているのは、今年2月にベネワン株がつけた年初来高値2390円前後。エムスリーによるTOB発表直前のベネワン株の終値に2倍超ものプレミアムが乗る。
ベネワン株のPBR(株価純資産倍率)は足元ですでに10倍を超え、PER(株価収益率)は40倍を突き抜けている。「超々割高」(証券大手関係者)なディールだ。裏返せばそれほどまでしても手に入れたい魅力的な“獲物”というわけか。
ベネワンは1996年の設立。パソナの社内ベンチャーとして生まれた。企業から会費を徴収して、会員企業の従業員に旅行やレジャー施設の利用といった福利厚生サービスを割安な料金で提供する。