大成建設が平和不動産をグループ化…アセット(資産)を狙ったM&A戦略の裏側
大成はM&Aを成長戦略の柱の一つに掲げる。23年11月には首都圏などで設計・施工を手掛ける佐藤秀(東京・新宿)を買収。同12月には中堅ゼネコンのピーエス三菱を傘下に収めた。ただ今回の資本提携は従来のM&Aとはいささか色合いを異にする。これまでの“標的”が同業や建設関連領域中心だったのに対し、アセット(資産)をターゲットに位置づけているからだ。
■バブル期のゼネコンを想起
それだけに市場関係者の一部からは「何やらバブル期のゼネコンに逆戻りしたかのような雰囲気が伝わる」といった懸念も漏れる。自らが資金を調達して土地を購入。建設プランを作成して実行に移す。いわば自分で自分の受注を作り出す事業モデル「造注」──だ。
バブル期。造注にのめり込んだゼネコン各社は金融機関から多額の借金を重ね、ゴルフ場開発などに血道を上げた挙げ句、土地神話の崩壊で深手を負った。「その二の舞いを想起させる」(証券筋)というわけだ。
大成が手にした平和不株の取得価格は単純計算で1株4700円。直近の平和不株の終値よりおよそ25%も割高だ。「高値掴み」の声もくすぶる。