植田日銀はハト派→タカ派→再びハト派へとコロコロ…「対話の失敗」が招いた為替と株の乱高下

公開日: 更新日:

「今の物価高は無視できる範囲にあるのか」と念押しする記者に、あっさり「はい」と言い放った。

 円安への対処を渋る姿勢はハト派の印象を市場に与え、あれよあれよと円売りは進行。7月前半に1ドル=161円を突破した。

 円安放置の姿勢が一転、7月会合で0.25%程度への追加利上げを決定。過去30年超えたことがない「金利0.5%」について、「壁として意識していない」とタカ派的な発言を繰り出した。

 その修正を図ったのが、きのうの内田発言だ。

 3月から「ハト→タカ→ハト」と変遷してきた植田日銀こそが、市場の乱高下を招いてきたのである。金融ジャーナリストの森岡英樹氏がこう言う。

「歴史的な円安・物価高を背景に、自民党幹部や現役閣僚から早期の追加利上げを求める声が出ていました。日銀の独立性を確保しなければならないのは当然ですが、元学者らしい植田さんの定量的なアプローチが政治や市場との対話を欠いているのも事実。コミュニケーションの失敗が、為替を通じた株下落につながったと思います。大きな政策転換に伴って荒い値動きになるのは仕方ない部分があるにせよ、新NISAなどの新しいファクターがある中でうまく舵取りしてもらわなければ困ります」

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • トピックスのアクセスランキング

  1. 1

    ニデック永守重信会長の堪忍袋の緒が切れる? 「売上高4兆円」達成に不可欠な牧野フライスの買収が難航中

  2. 2

    大阪万博「ガス引火」の懸念は消えず 西ゲート付近喫煙所は設置断念も、たばこポイ捨てで…専門家が警鐘

  3. 3

    喫茶店の倒産が過去最多ペースに…昭和レトロブームでも存在意義薄れ、勝てる要素なし

  4. 4

    誰トク?広がる地方私大の公立化…見送られた千葉科学大は「加計学園」が運営撤退も大学存続

  5. 5

    メール定着で利用減…郵便局への「補助金」案に金融界が呆れ顔

  1. 6

    ニセコで横行する「海賊スキースクール」…中国系インストラクターやりたい放題で認定校とはイタチごっこ

  2. 7

    大阪万博パビリオン建設は“24時間体制”に…元請けの「3月中には完成させろ!」で危惧される突貫工事の過酷労働

  3. 8

    大阪万博まで1カ月で異常事態! リングの盛り土ボロボロ削れ浸水被害の恐れ…識者は台風や高潮を危惧

  4. 9

    大阪万博の目玉 344億円の巨大木造リングはほぼフィンランド産…「日本の森林再生のため」の嘘っぱち

  5. 10

    大阪・関西万博もう間に合わず? 工事未完を「逆転の発想」で楽しむ方法…識者が皮肉たっぷり提唱

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    自信なくされたら困るから? 巨人・田中将大がカブス戦登板「緊急回避」の裏側

  2. 2

    ニデック永守重信会長の堪忍袋の緒が切れる? 「売上高4兆円」達成に不可欠な牧野フライスの買収が難航中

  3. 3

    巨人・田中将大の早期二軍落ちに現実味…DeNA二軍の「マー君攻略法」にさえなす術なし

  4. 4

    巨人阿部監督が見切り発車で田中将大に「ローテ当確」出した本当の理由とは???

  5. 5

    茨城県知事の異常な県政を朝日も毎日も報じない不思議…職員13人が自殺?重大事件じゃないか!

  1. 6

    立憲民主党の凋落は自民党以上に深刻…参院選改選組が国民民主党に露骨なスリ寄り

  2. 7

    小芝風花&松坂桃李は勝ち組、清野菜名は貧乏クジ…今期ドラマ「トップコート」所属俳優の泣き笑い

  3. 8

    阿部寛「滑舌問題」はクリアできそうだが…新日曜劇場『キャスター』で国民的俳優が試される“唯一の心配事”

  4. 9

    浜田雅功の休養の裏で着々と進む松本人志との"今夏ダウンダウン完全復帰計画"…プラットフォームに本腰

  5. 10

    誰トク?広がる地方私大の公立化…見送られた千葉科学大は「加計学園」が運営撤退も大学存続