著者のコラム一覧
小林佳樹金融ジャーナリスト

銀行・証券・保険業界などの金融界を40年近く取材するベテラン記者。政界・官界・民間企業のトライアングルを取材の基盤にしている。神出鬼没が身上で、親密な政治家からは「服部半蔵」と呼ばれている。本人はアカデミックな「マクロ経済」を論じたいのだが、周囲から期待されているのはディープな「裏話」であることに悩んで40年が経過してしまった。アナリスト崩れである。

三菱UFJはネット証券再編で劣勢挽回なるか…“消える”auカブコム証券

公開日: 更新日:

 実際、「auカブコム証券」の足元の口座数は約175万で、三井住友フィナンシャルグループ(FG)が資本提携関係にあるSBI証券の1300万口座、みずほフィナンシャルグループ(FG)が資本提携関係にある楽天証券の1100万口座に大きく水をあけられている。NISAの口座数(6月末)についても、楽天証券が552万口座、SBI証券が504万口座であるのに対し、「auカブコム証券」は27万口座に過ぎない。

■金融庁から業務改善命令

 そうした危機感を募らせる三菱UFJの背中を押したのは、6月に露呈した三菱UFJグループ内でのファイアウオール(業務障壁)違反だった。三菱UFJ銀行、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、モルガン・スタンレーMUFG証券の3社は、法人顧客の非公開情報を顧客の同意なく共有していたもので、金融商品取引法違反として金融庁から業務改善命令を受けた。ガバナンスの不備ともいえる事案で、経営陣が報酬の一部返上を決めるなど責任を問われた。「三菱UFJにとっては、まさに痛恨事、証券戦略の立て直しは急務となった」(メガバンク幹部)とされていた。

 今回のKDDIとの資本再編は、そうした三菱UFJの証券戦略における交通整理の意味合いもある。果たして三菱UFJは劣勢を挽回できるか……。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大友康平「HOUND DOG」45周年ライブで観客からヤジ! 同い年の仲良しサザン桑田佳祐と比較されがちなワケ

  2. 2

    阪神・西勇輝いよいよ崖っぷち…ベテランの矜持すら見せられず大炎上に藤川監督は強権発動

  3. 3

    歌手・中孝介が銭湯で「やった」こと…不同意性行容疑で現行犯逮捕

  4. 4

    佐々木朗希の足を引っ張りかねない捕手問題…正妻スミスにはメジャー「ワーストクラス」の数字ずらり

  5. 5

    阪神・藤川監督が酔っぱらって口を衝いた打倒巨人「怪気炎」→掲載自粛要請で幻に

  1. 6

    巨人・小林誠司に“再婚相手”見つかった? 阿部監督が思い描く「田中将大復活」への青写真

  2. 7

    早実初等部が慶応幼稚舎に太刀打ちできない「伝統」以外の決定的な差

  3. 8

    「夢の超特急」計画の裏で住民困惑…愛知県春日井市で田んぼ・池・井戸が突然枯れた!

  4. 9

    フジテレビを救うのは経歴ピカピカの社外取締役ではなく“営業の猛者”と呼ばれる女性プロパーか?

  5. 10

    阪神からの戦力外通告「全内幕」…四方八方から《辞めた方が身のためや》と現役続行を反対された