三菱UFJはネット証券再編で劣勢挽回なるか…“消える”auカブコム証券
実際、「auカブコム証券」の足元の口座数は約175万で、三井住友フィナンシャルグループ(FG)が資本提携関係にあるSBI証券の1300万口座、みずほフィナンシャルグループ(FG)が資本提携関係にある楽天証券の1100万口座に大きく水をあけられている。NISAの口座数(6月末)についても、楽天証券が552万口座、SBI証券が504万口座であるのに対し、「auカブコム証券」は27万口座に過ぎない。
■金融庁から業務改善命令
そうした危機感を募らせる三菱UFJの背中を押したのは、6月に露呈した三菱UFJグループ内でのファイアウオール(業務障壁)違反だった。三菱UFJ銀行、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、モルガン・スタンレーMUFG証券の3社は、法人顧客の非公開情報を顧客の同意なく共有していたもので、金融商品取引法違反として金融庁から業務改善命令を受けた。ガバナンスの不備ともいえる事案で、経営陣が報酬の一部返上を決めるなど責任を問われた。「三菱UFJにとっては、まさに痛恨事、証券戦略の立て直しは急務となった」(メガバンク幹部)とされていた。
今回のKDDIとの資本再編は、そうした三菱UFJの証券戦略における交通整理の意味合いもある。果たして三菱UFJは劣勢を挽回できるか……。