引っ越しシーズンで現場は混乱…「内見できない物件」問題に2つの要因
奇妙なことに、賃貸住宅市場では、存在するのに「見られない物件」が増えているという。ネット上には、入居者を募集中の物件は実際に豊富にあるものの、内見できる部屋は極めて少ないのだ。
都内の賃貸仲介店は、「検索サイトに掲載されている複数の部屋に問い合わせたところ、即入居可能な物件は10%もなかった。他は入居中で、内見もできない状態だった」と現状を語る。
実は、ここ数年で、こうしたミスマッチが常態化してしまっているという。それが特に顕著になるのが、年明けから続く引っ越しシーズンだ。賃貸仲介店にとって、1月から3月は年間利益の半分以上を稼ぐ最大の商戦期。だが、その繁忙期に実際に内見・契約できない物件の問い合わせ対応に追われてしまっているという。
この状況を招いた要因は、主に2つある。
1つは仲介現場での「とりあえず申し込み」の常態化だ。賃貸仲介の担当者が入居の審査落ちを懸念して「念のため複数の物件を押さえておく」よう促すため、入居希望者も気軽に申し込みを入れるようになった。オンライン申し込みシステムの普及がこれに拍車をかけ、複数の物件に同時に手続きを進めることが容易になった。後でもっとよい物件が見つかれば軒並みキャンセルしてしまう。結果、複数の物件が「申し込み中」のステータスとなり、他の入居希望者が検討・内見できない状態が続く。