引っ越しシーズンで現場は混乱…「内見できない物件」問題に2つの要因
また、もう1つの大きな要因は、賃貸住宅の管理会社の多くが2カ月前の退去通知を求めるようになったことだ。これにより、まだ居住中なのに「空室予定」として募集される物件が増加。内見できないため、入居希望者は仮申し込みでキープするしかなく、その物件は他の人が検討できなくなるという悪循環が生まれている。
賃貸情報サービスのエアドア(東京)の鬼頭史到社長は「この状況を改善するには、広告を掲載する仲介会社だけでなく、入居状況を把握している管理会社との連携も強め、物件情報を常時更新できる仕組みが不可欠です」と語る。さらに「業界全体でのルール作りも合わせて必要」と課題を挙げる。
関係者が協調して安易な入居申し込みは制限しつつ、キャンセルされた仮申し込みの情報や内見可能時期、現入居者の退去予定日などをリアルタイムで反映し、無駄な問い合わせや新たな仮申し込みを防ぐ仕組みづくりが求められる。ただ、改革には相当な時間を要するだろう。
検索サイトの対策とSNSによる監視の目によって、架空の部屋を“エサ”にする「おとり物件」は不動産市場から大幅に姿を消した。だが、今度は確かに存在するのに姿を見せない「幽霊物件」が広がっているようだ。
(小野悠史/ニュースライター)