自衛隊がXで「大東亜戦争」と投稿…すべてを曖昧にしたまま戦後をやり過ごしてきた日本人の“疵”
■自衛隊内では普通に使われていた?
おそらく自衛隊内では普通に使われていて、しかもさほど大きな意味はなかったのであろう。だからすぐ削除できたのだ。
その是非を今は問わないが、要するに「先の戦争」などと書くように、「あの戦争」をはっきりと呼称する名前が戦後79年経っても、ないのが現状である。
それは日本人が全てを曖昧なままやり過ごしてきたからではないか。
現在、井上ひさし作「夢の泪」を上演中である。東京裁判を担当する弁護士夫婦を題材にした芝居の肝はここにある。
劇中の若き娘のセリフ「人さまに裁いてもらっても仕方ないんじゃないかしら」「日本人のことは、日本人が考えて、始末をつける」。
そして期せずして先週放送されたNHK「映像の世紀」も東京裁判のドキュメンタリーであり、最後に井上ひさし氏の言葉が語られた。
いわく、(東京裁判は)「疵(きず)こそ多いが、血と涙から生まれた歴史の宝石」と述べ、「では疵とはなにか、国民がこの裁判を無視していたことです」と我々に問いを投げかけ、締めくくられている。