無敵の大統領がまき散らす陰謀論という“毒薬”…米国はいずれ、我々が知る国ではなくなるかもしれない
■米国民の41%が陰謀論を信じている
調査会社ユーガブが23年11月に実施した世論調査では、米国民の実に41%が「世界は闇の団体や個人に操られている」と信じていた。また「20年選挙で票の集計機械が不正操作された」「民主党幹部らが子どもの売買春に関与している」を信じる回答も30%前後に上る。
現在のトランプは無敵だ。大統領選挙と同時に行われた議会選で、連邦上下院を共和党が握り、最高裁判所も保守派が多数を占める。
従順な側近に囲まれたトランプには第1次政権のような有能なブレーキ役がいない。
連邦議会襲撃や選挙への不正介入、売春の口止めなど約90の重罪で起訴、一部で有罪判決をうけながら、トランプはすべてを「政治目的の魔女狩り」とラベル貼りしたゴミ袋に投げ入れた。
そして「自分を陥れた」として政敵や司法関係者に対する刑事訴追の準備を進めている。襲撃事件で逮捕、収監された自分の支持者らを「政治犯」と呼ぶトランプは就任初日に、彼らに恩赦を与えた。それは米国が守ってきた正義の理念崩壊の序章を意味する。