米トランプ暴走「武器供与一時停止」は打撃だが…ウクライナには「意外なチャンス」と識者が解説
ロシアがウクライナへ軍事侵攻を仕掛けてから丸3年が経過したタイミングで、事態は大きく動こうとしている。ウクライナの最大の後ろ盾である米国のトランプ大統領が3日、武器供与の一時停止を決定。はしごを外されたウクライナが苦境に立たされるのは間違いないが、見方を変えれば、新たな道が開けるかもしれない。
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トランプは、ウクライナに輸送中の武器やポーランドに保管している武器など米軍装備品の供与を一時停止。ウクライナのゼレンスキー大統領との首脳会談が決裂したことで強硬策に打って出た。
米メディアによると、トランプ政権は「軍事支援が問題解決に貢献しているか確認するために一時停止し、再評価している」という。ゼレンスキーが停戦に向けた取り組みを行うまで停止を継続する構えだ。
トランプの“裏切り”にウクライナは動揺を隠さない。支援の一時停止を受け、議会は声明を出し、米国の支援に関して〈ウクライナ国民にとって今まで以上に重要だ〉と強調。ゼレンスキーも自身のXで〈和平の道筋のためにも米国の支援を強く望む〉と訴えた。
独シンクタンク「キール世界経済研究所」の調査によると、侵攻開始から昨年までの対ウクライナ軍事支出のうち、米国が49%(670億ドル)を、その他の国が51%(690億ドル)を負担したという。
確かに、米国の支援なくして戦争継続は困難。米国が供与するミサイルなどが使えなくなれば、ウクライナが現在の戦力でロシアと対峙できるのは、もって「今夏まで」との見方も出ている。筑波大名誉教授の中村逸郎氏(ロシア政治)が言う。
「武器供与の打ち切りはウクライナにとって最大のピンチですが、同時にチャンスでもあります。米国が軍事支援の筆頭だったわけですが、これからは英仏を中心とする欧州へシフトするからです。結局、トランプ氏にしてみれば、和平もディールに過ぎません。しかし、欧州各国にとっては、ウクライナこそがロシアからの侵略を防ぐうえで必要不可欠。何が何でも支援しなければならない。プーチン氏は戦争を止める気はありません。いよいよ欧州の存続をかけた戦争という意味が強まるだけに、ウクライナにとって欧州各国の更なるコミットメントを得られるのはチャンスとも捉えられます」