上村愛子の敗因もロクに説明せず…五輪実況と解説に疑問符
「上村は向かって右側のコースを滑り、ゴールした時も右に寄っていた。右側のコースの方がコブの大きさや配置が簡単で、ターンのミスを減らせるうえにスピードも出せると判断したからでしょう。上村はそこで勝負をかけたのです。一方、他の選手は難しいといわれる中央付近のコースを滑った。そのため、いくつもミスをしたり、タイムが伸びない選手もいた。カーニーもミスをしましたが、採点者は得点の高いカービング技術や難しいコースでいかにミスを少なくしながら滑れるかにチャレンジした姿勢を評価したのでしょう」
そうしたポイントや駆け引きがあっての4位だったというわけだ。
本来なら、テレビ中継の解説者が専門家の視点からそうした説明をするべきなのだが、女子モーグルの解説はあまりにも酷かった。上村の滑りを見ながら「これまでで一番いいですよ!」「高い!」などと褒めるだけ。作家の吉川潮氏は言う。
「五輪の解説者は、競技や選手を解説するというよりも、日本の応援団になってしまっているケースがほとんどです。ベタボメしたり、感動を押し付けるのが当たり前になっている。モーグルもそうですが、冬季五輪の種目は総じてマイナーで、ルールすら分からない人がほとんどでしょう。だからこそ、しっかり解説して、競技の面白さ、技術的なポイント、勝負の見どころなどを知ってもらうチャンスなのに、逆効果に終わっています」