今度は右ひじ…中日・浅尾を壊した日本球界の“悪しき体質”
「酷使による故障は自分ひとりではコントロールできない。プロの投手たるもの、調子がいい時は何試合でも連投できると思うし、少しくらいの痛みなら無理をしても投げる。『痛いのか』と聞かれても、『大丈夫です』と答えます。それで故障した後が苦しい。休めば年俸に影響するし、『ゆっくり治せ』と首脳陣に言われても『チームに迷惑をかけられない』と焦る。完治していないのに、無理して投げて再び故障……という悪循環に陥ってしまう。私自身、86年に左肘を故障した時はどうにもならなくて、祈祷(きとう)師のところに行って神頼みをした。肉体的にも精神的にもかなり追い込まれる。これに耐えられるのは、よほどの強靭な体に恵まれるか、堂々と『自分は休む』と言える実績とずぶとい性格を持つごく一握りの選手だけです」
■故障を隠して連投すると「美談」になる
選手が酷使や痛みを我慢する精神構造になってしまうのは、日本球界やマスコミの体質に大きな問題がある。
「ケガした選手は今後の野球人生を考えれば、しっかり休むことが大事。でも、選手をボロ雑巾のように使っても、『また新しい選手が出てくるからいい』と考えている指導者は今もいる。マスコミ報道にも問題があると思う。故障を隠して連投して抑えると美談仕立てにするが、反対にケガで休んだら批判をしたり、リハビリ期間中は『いつ上がってくるんだ』とせき立てる。大半の選手は常に周囲の顔色をうかがい、精神的に追い詰められていくのです」(福間氏)