念願の移籍後初本塁打 中日・小笠原に“怖さ”が戻ってきた
真骨頂の低く鋭い打球が右翼スタンドに突き刺さった。9日のヤクルト戦の八回2死一塁、代打で登場した中日の小笠原道大(40)が移籍後初となる今季1号本塁打。ホームラン賞の人形を受け取り、ベンチ前で出迎えたナインとハイタッチすると、最後に“この人形はどうするの? スタンドに投げるの? もらえるの?”と戸惑い気味に聞く姿が「18年目の新人」らしかった。
ここ2年間、巨人での試合出場は計56試合。原監督の構想から完全に漏れ、巨人を退団する決意を固めてFA宣言したものの、一向に電話は鳴らなかった。引退が頭をよぎる中、中日の落合GMから連絡が入ったのが交渉解禁3日目。すぐに返事をしなかったのは、同じ日数を待ってみて、その間に覚悟を決めるためだったという。中日に「よろしくお願いします」と返事をしたのは、交渉が解禁されて6日目。小笠原にとっては短くも長い移籍決定だった。
中日から提示された背番号は「36」。落合GMが現役時代に背負った「3」と「6」を合わせたものだが、偶然にも移籍の過程を象徴する数字でもあった。