本田圭佑「虚像と実像」(9)友人宅に上がり込み食い尽くす
ジュニアユースで同期の與(あたえ)貴行(現G大阪ジュニアユースコーチ)が、苦笑いを浮かべながらこう振り返る。
「とにかく“容赦なく食べる”という表現がピッタリでした。あまりにもがっつくから『おい! ちょっとは遠慮せえよ!』と何度も言ったんですけどねぇ。本田はどこ吹く風でしたね。ボクの家だけじゃなく、チームメートの家を順番に回っていたみたい」
■1万円欲しさに服を脱ぎ捨て…
遠征先で生き死にに関わるような無謀なことをやり、チームメートを閉口させたこともあった。
中学3年の夏に淡路島まで遠征に出かけた時のことだ。
試合前日に現地入りした夜、本田がチームメートたちを民宿の外庭に呼び出した。仲間がいぶかりながら集まると、本田は近くに止まっていた軽トラックの荷台に飛び乗り、握り拳をマイクに見立て、カラオケの持ち歌をガナリ立てた。
「おい、明日は大事な試合なんやぞ!」
呆れながらチームメートが部屋に戻ろうとすると、ひとり気分がよくなった本田が、民宿の前を流れる川を背にばかげたことを言った。