本田圭佑「虚像と実像」(9)友人宅に上がり込み食い尽くす
「今からオレ、ひとりで泳いで向こう岸にタッチして戻ってくるわ」
川幅は約50メートル。河口に近いため水深は深く、流れも速い。川面は真っ暗闇。激しい水音が恐怖を倍増させる。危険極まりないことは明白だった。
「ムリや! 明日は試合なんやし、バレたらヤバい。やめとけ!」
エースの家長(現大宮FW)がこう言っても、本田は「タッチして戻ってこれたらどうする?」と挑発する。家長が「よし! 戻ってきたら1万円やるわ!」と吐き捨てた。
「ホンマやな? みんな! ちゃんと聞いたな、今の言葉」
暗闇の中、不敵な笑みを浮かべた本田が着ていた服を全て脱ぎ捨てた。
(敬称略=つづく)