慣れるべきは暑さより湿度だった 「日本は準備に失敗」の声
試合が行われたレシフェのような高温多湿の場所では、いかに体力を温存し、勝負どころで力を出すかが肝である。同じような気温のリオで活躍した、かつてのブラジルの名選手、ロマーリオはその手のプレーの達人だった。そして、途中出場でピッチに姿を現したドログバはその通りのプレーをした。
ドログバが「本調子ではない」との報道は、日本代表選手の頭のどこかにあっただろう。彼を軽く見ていた日本代表と、調子が良くないときには何をすべきかはっきりと分かっていたドログバ――。彼が登場した段階でこの試合は勝負あった。
そして日本代表は、湿度の高いところでの戦い方を完全にミスした。ブラジルのリオなど暑いところのリーグは基本、中盤ではあまりプレスをかけない。ただ、いわゆるバイタルエリアは堅く守る。日本代表の場合は逆。暑いところでの戦い方を選手たちが選択できなかったという感じだ。
ワールドカップは世界のトップが集まるだけに、ちょっとした差が勝敗を分けるのだ。
文・田崎健太(ノンフィクション作家)