日本代表を過大評価…メディアがサッカーW杯を歪めている
■ため息しか出ない他国一流選手の肉体、技術、スピード。パワー
日本のサッカーのレベルを象徴する、こんな話がある。神様ジーコが来日した91年、入団した住友金属(現鹿島)の練習に参加すると、当時の主力選手に「シュート、パス、トラップは必ず一度動きを止めてからやれ」と注文をつけた。不満そうな表情を浮かべる選手に、「残念ながら君たちは、動きの中でそれらをやるレベルにまだない」と諭したのだ。
「それから23年が経ち、日本選手の技術レベルが当時より向上したのは事実です。が、世界のトップ選手との差が縮まったかといえば、そうではない。トルシエが日本代表監督時代に、『例えば中村俊輔のテクニックは世界最高レベルといってもいい。ジダンにも劣らない。ただ、残念ながらそれには、〈練習では〉〈敵がいなければ〉という注釈をつけなくてはいけない』と言っていた。中田英寿も『練習の技術なら日本代表は世界でもトップクラス』と同じようなことを言っていたが、そこが世界との決定的な差。当たり前ですが、練習でどんなに高度なテクニックを見せたところで、それを試合でやれなければ意味がありませんからね」(サッカーライター・平野史氏)