7勝目 日ハム大谷の投球精度を飛躍させた「覚醒の瞬間」
「今年のキャンプ、オープン戦ではフォームが安定せず、ストレート、スライダー、フォークの球種ごとにばらつきがあった。同じフォームで投げられるのは10球中4~5球くらい。それがあの日のブルペンではどの球種も十中八九、同じフォームで投げられた。以来、どのボールも精度がグンと上がった。言葉で言うのは難しいですが、体の使い方や足の踏み出し、リリースの感覚などの部分で歯車が噛み合ったんでしょう。それから、投手としてのレベルが一気に上がったと思います」
その神戸でのブルペン投球の直後に登板した13日の西武戦。大谷は自己最速の158キロをマークし、プロ初完封勝利を挙げた。続く20日の中日戦は五回まで無失点も六回に崩れて5失点で降板したが、28日のヤクルト戦からこの日まで4試合連続で160キロを投じ、2点以上取られていない。某球団のスコアラーは、「着地する際に開き気味だった左足が、真っすぐにスムーズに出せるようになり、フォームが安定したのでは」と言う。
また、現役時代、フォークを武器に通算134勝を挙げた大洋OBの遠藤一彦氏(評論家)は、「フォークもいい。外に逃げたり、打者に食い込むように落ちたり、握りを変えて工夫しているのかもしれない」と感心する。まだプロ2年目の19歳。覚醒した怪物の快進撃は止まりそうにない。