著者のコラム一覧
松崎菊也戯作者

53年3月9日、大分県別府市生まれ。日大芸術学部放送学科卒業後は宇野重吉らが率いる「劇団民藝」に所属。その後はコントグループ「キモサベ社中」「キャラバン」を経て、88年にコントグループ「ニュースペーパー」を結成。リーダー兼脚本家として活躍した。98、99年にはTBSラジオ「松崎菊也のいかがなものか!」でパーソナリティーを務めた。現在も風刺エッセイや一人芝居を中心に活躍中。

桐生くん、科学なんざ信用するなよ

公開日: 更新日:

 文科大臣は金メダル30個と豪語し、橋本聖子はそれ以上! と威勢がいい。現実は、桐生君が「9秒台で世界を制する」のは安倍晋三が「9条を変える」ように難しいのだ。

 君は割にプレッシャーに弱い選手とみた。万が一、よき追い風が吹いて、世界ジュニアで9秒9台が出たとしようか。日本陸連はメディアを総動員して、「サムライ超特急」など安直なニックネームを付け、「次は金メダルだ!」と持ち上げ、やや面長でキュウリ顔だというんで、逆さまに鎖を付けてキリュウクン野菜ストラップやら、訳分からんグッズを大量にばらまかれ、サイン会や握手会で危ないファンに殴りかかられたりしつつ、陸連の宣伝に引きずり回された揚げ句に疲れ果て、いざ本番じゃプレッシャーに負けて失速、「やっぱり桐生はこんなもの」と放り出されて20年後、クソワイドショーの場つなぎコーナーに、田舎で体育のセンセやっている君を、「あの人は今」などと紹介されるのはアホくさい。その手始めが陸連が手引きする「科学のメス」ではなかろうかと心配している。

 よ~く見りゃどこかネズミ顔だが、だからといって君は実験用マウスではない、人間なのだ。権威筋がすぐに飛び付く「科学」など裏で何をやっているか分かったもんじゃない。理研のザマを見りゃ分かるだろ。

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