初の国立大力士・一ノ矢哲博さん 「逸ノ城は丸裸にされる」
「女房がいたマスコミ関連会社で相撲を応援するサイトを作ることになり、自分のところに取材に来たのが縁で知り合いました。女房が自分のゴーストライター? ハハハ、それはありません。向こうはプロだから、文章的にチェックしてもらうことはありますが」
近く7冊目となる著作を出版するとか。タイトルは「相撲物理学」。自らの物理学の知識を生かして書いた。
「といっても、そんなに難しいモンじゃないですよ。相撲世界の昔からの言い伝えや格言などが、物理学の立場から見るとどうなるかを書きました。例えば土俵上で相手を寄って出て土俵際まで迫ると、寄って出た力士はマワシを離しますよね。あれはマワシを離すことによって自分の運動量が相手に伝わる、運動量保存の法則からです」
いやはや、物理学で相撲が解き明かされるとは思ってもいなかった。
さて、一ノ矢さんといえば身長事件。新弟子規定に8センチも足りなかった。
「相撲取りになろうと決意したのは大学3年の夏です。自分のウィキペディアを見ると、高校教員の採用試験に合格しながら大相撲に進んだとありますが、あれは間違い。親がうるさいために試験を受け、実際は落ちたんです。しかし、入門させてくれる部屋はなかなか見つからなかった。あちこち訪ね回り、やっと若松部屋(元関脇・房錦)に入門を許されたと思ったら、合格するまでに8カ月もかかりました」