吉田、伊調避け階級変更 進まぬ女子レスリングの「世代交代」
「勝ちやすい階級に逃げたのがミエミエだよ」
23日に閉幕した天皇杯全日本レスリング選手権。関係者からはこんな声も聞こえてきた。
最終日は男女7階級が行われ、女子53キロ級では吉田沙保里(32)、同58キロ級では伊調馨(30)が順当に優勝。新階級で吉田は初、伊調は連覇を達成した。
今大会は16年リオ五輪の第1次予選会も兼ねる。2人の金メダリストがリオに向けて好スタートを切ったのは当然か。53、58キロ級の2階級はハナから勝ち目がないと、55、60、63キロ級に階級をずらして出場した選手が少なくなかったからだ。
18人が出場した吉田の53キロ級はともかく、伊調の58キロ級を戦ったのはわずか7人。シードの伊調は準決勝、決勝の2試合をこなしただけだ。階級を変更した選手の大半は望みが少ない五輪出場よりも、世界選手権で採用されている階級(55、60、63キロ級)でのメダル狙いだという。
いつまでたっても吉田、伊調を脅かす存在は現れないし、これでは世代交代も進まない。