キャンプMVPは鳥谷 今年も底上げに失敗した阪神の“病巣”
発表を聞いた関係者は、「やっぱりそうなるよなぁ……」とため息を漏らした。
25日にキャンプを打ち上げた阪神。和田監督が毎年恒例のキャンプMVPを発表した。「リーダーシップを発揮して、若い選手がやりやすいようにしてくれた」と選んだのは、昨オフ、FA権を行使して残留した鳥谷敬(33)だった。
ここ数年、沖縄で毎年見られる光景だ。昨年は新井貴浩(現広島)で一昨年は新井良太。すでに一軍で実績のある選手がMVPに名を連ねている。
ここに阪神の“病巣”がある。キャンプは、1カ月という長い時間をかけていわゆる「一軍半」のメンバーの底上げを図る場だ。そこで一番目立った選手が鳥谷というのでは、成長が期待される若手、中堅はいったい何をしているのかということになる。
キャンプ前半、デイリースポーツに載った評論家の岡田彰布氏と鳥谷の対談には、こんなやりとりが出てくる。「ここんところ次に名前が出てくるような若手がいないよな」と言った岡田氏に、鳥谷は「そうですね。今回初めて(一軍キャンプに)参加する選手もたくさんいますけど、実際、(試合に)出てる人との差はあると思います」と、若手のアピール不足の現状を指摘していた。17日の練習試合を視察した元監督の楽天・星野SAも、「今年はタイガースは(優勝の)チャンスでしょう。今年、来年を逃したら難しくなる」と言っていた。レギュラーが元気な一方で若手、中堅の台頭がないことを気にかけての発言だったことは、容易に想像がつく。