開幕7試合でもう…阿部を捕手に戻した原監督の人事センス
「世の中の注目度からすれば、巨人というのは大きな組織です。例えば、戦艦大和のような巨大な船は簡単には方向を変えられない。船長が、急に舵を切れば、パニックに陥る危険性があるからです」
人事コンサルタントの菅野宏三氏がこう言った。
原辰徳監督(56)が打撃に専念させるため、今季から一塁にコンバートした阿部慎之助(36)を3日の阪神戦で捕手に戻したのである。2日の中日戦で同一カード3連敗を喫し、捕手の相川が試合中に右太もも裏を肉離れ。そんな苦しいチーム状況もあって、指揮官が決断した。
今季「新成」を掲げ、「チームが困ったら捕手を頼むということがないように覚悟を決めてやる」とし、「捕手に戻すことは99%ない」と断言していたにもかかわらず、である。指揮官がこう言うのだから当然、阿部は昨秋から捕手の練習を行っていない。それが、ぶっつけ本番でマスクをかぶらせた。菅野氏が続ける。
「サラリーマンの世界から見れば、巨人の選手たちは高給取りでプライドも高い。どの選手も監督やチーム方針に沿いながら、毎日多くのことをイメージしながら試合に臨むでしょう。成績が年俸に直結するシビアな世界でもあるため、監督が『右向け右』と言っても、全員がすぐに右を向くわけではありません。もし会社でわずか1週間で転勤や異動と言われたら社員は戸惑います。この方針転換のメリットは残念ながらないでしょう」