勝てば勝つほど育たない…森友哉をめぐる西武の“ジレンマ”
8日の日本ハム戦には敗れたとはいえ、開幕10試合を6勝4敗と勝ち越した西武。専門家の開幕前の予想では大半が「Bクラス」だったことを考えれば、御の字だろう。が、首脳陣は喜んでばかりもいられない。チームが勝ち星を増やせば増やすほど、高卒2年目捕手・森友哉(19)の育成が進まないからだ。
森はルーキーイヤーの昨年、シーズン中盤の7月末に一軍昇格すると、高卒新人選手として46年ぶりとなる3試合連続本塁打をマーク。持ち前のフルスイングで6本塁打を放った一方、捕手としてのキャッチングや配球面の課題が浮き彫りになった。そこで首脳陣は今季を「森の育成年」と位置付け、実戦を積ませながら炭谷銀仁朗(27)と正妻の座を競わせる方針を固めていた。
ところが、チームは開幕から快進撃。「脆弱」と思われていた西武投手陣をうまくリードする炭谷が原動力になった。いい流れを引き寄せる炭谷を引っ込めるわけにはいかず、森は打力を生かす「指名打者」での出場が続いているのだ。
「開幕直後とはいえ、仮に負けが先行していれば、田辺監督も思い切って森にマスクをかぶらせたでしょう。でも、炭谷の好リードのおかげで勝っている以上、森を捕手で使って流れが変わっては困る。育成したいのにできないジレンマです」(チーム関係者)
巨人・阿部慎之助を超える「打てる捕手」になるはずが、気が付けば「DHが本職」になりかねない。