復活も不安残るマー君の右肘 手術の“境界線”は「3ミリの差」
これまで100人以上に腱を再建するトミー・ジョン手術を施した産業医科大学若松病院の内田宗志医師(診療教授)は、メスを入れる判断基準についてこう解説する。
「基準となるのは靱帯が完全に断裂しているか、部分的に損傷しているかです。MRIでハッキリと靱帯が切れているのが確認できること。もうひとつは、エコー(超音波)で肘にストレスを与えた際に関節が3ミリ以上開いた場合、完全断裂と判断し、手術を勧めます。部分損傷の場合はPRP(多血小板血漿)療法を選択します」
田中は昨年、PRP療法を選択した。これはあくまでも、悪化を防ぐために患部を保存する治療法であって、完治するわけではない。ましてや復帰登板で最速154キロをマークしたように、毎回、150キロを超える直球を投げ続ければ、いつ右肘が悲鳴を上げても不思議ではないのだ。