盛り上がる日本テニス ジュニアに突き付けられる「課題」とは
努力が蛇口から注がれる水の量だとしたら、自己イメージはそれを入れる容器の大きさである。そして容器の中にたまった水の量が成績である。いくら努力を積み重ねても、肝心の自己イメージという容器が小さければ、努力は簡単にあふれ出してしまう。もちろん成績も出ない。
10代の日本人選手には、「錦織選手が世界のトップ10で活躍できるなら、自分もできないことはない」と考えて、まずは自己イメージという容器を大きくすることから始めてほしい。
現在のシングルスにおいては、10年前に比べてストローク力が勝敗に及ぼす影響力は確実に高まっている。ストローク力には「粘り強さ」や「我慢強さ」が求められる。これは本来、日本人が得意にしている気質である。
私の現役時代に沢松(現姓吉田)和子というプレーヤーがいたことを覚えている人もいるだろう。私は最盛期の彼女のヒッティングパートナーを務めていたが、彼女は「相手が100球返球してきたら、私は101球返球する」という覚悟でコートに立っていた。
やはり半世紀近く前に大活躍した日本を代表する女性プレーヤーの抱いていたこの心構えを持って欲しい。そして「粘り強さ」を武器にして堂々とコートに立つ。それしか日本人プレーヤーは活路を見いだせない。