返事だけ「ハイ!」ってのが多い。来日して二十何年、日本人も変わってきてるのが分かるよ
昔と今の弟子の違いを語っても、決して悲観的ではない武蔵川親方。弟子との接し方は、いるだけで雰囲気をつくったという先代とはかなり違う。
「時代だよ、これは。昔は一言、二言聞けばできる人が多かったけど、今の子は、なかなか理解できない。昔はハングリーさがあったからね。今は、それがないから……聞いてるか、聞いてないかも分からない。
今の若い人は、返事だけ『ハイ!』ってのが多い。日本に来て二十何年経って、日本人も変わってきてるのが分かるよ。
たとえば、今の若者は何でも『お母さん』だから(笑い)。お母さんが何でもすぐに送ってくる。お母さんでなくても、おじいちゃんやおばあちゃんが送ってくる。そうやって、欲しいモノがすぐ手に入るからハングリーさがないんだよ。
それと携帯。携帯がないと生きていけないんだ(笑い)。私は『切りなさい』って、ちゃんと言う。門限と一緒で、『ルールを守れ』ということだよ。
そんな大事な携帯なのに親に料金を払ってもらってる子が多いから、『おまえたち、一応は働いてるんだから、自分で払いなさい』と言うんだ。貯金もしろと言ってる。全部、弟子の将来のためだよ」