チグハグ巨人の象徴…原監督“直接指令”も坂本バント空振り
評論家の権藤博氏は、巨人が本来の力を発揮するために必要なのは「原監督の我慢だ。選手の格を信じてジタバタしないこと」と言っている。
なるほどこういうことかというシーンが、巨人の連勝で迎えた昨26日の広島戦であった。
0-0で迎えた六回無死一、二塁のチャンス。打席に坂本が入った。チームトップの打率.275、43打点の3番打者。前日25日の試合で先制の8号2ランを放ち、「少しずつ良くなってきた」と笑顔を見せていたポイントゲッターにしかし、ベンチの原監督は犠打を命じたのだ。
結果は最悪だった。初球、坂本は145キロの真ん中の直球をバントで空振り。飛び出した二塁走者の立岡が捕手からの送球で殺された。結局、坂本は遊ゴロに倒れて無得点。その裏、好投を続けていた先発の高卒2年目左腕、19歳の田口が梵に2点本塁打を打たれ、試合の流れは一気に広島に傾いた。
「やってはいけないプレーが2つ続いた。あの辺も相手に(流れを)渡してしまった」
とは、3タテを逃した試合後の原監督。五回1死一塁で投手の田口が犠打を失敗、併殺になって一気に好機を潰したのも痛かったが、坂本のミスはそもそも采配自体に賛否が出るたぐいのものだろう。坂本が打席に入る際、原監督は「作戦上、明確にということ」とわざわざ直接、声をかけた。ベンチの意図を伝えたつもりでも、それに選手が納得するかは別問題。真ん中の直球をバットに当てることすらできなかった坂本のバントからは、少なくとも何が何でも決めてやるという姿勢は感じられなかった。
こんなところにも、巨人が波に乗れない理由がある。