ただ、私にはそれが谷繁のやり方だとは思えない。彼とは5年間、同じユニホームを着た。自分にも相手にも厳しい男だが、投手のプライドを尊重せず、やる気を削ぐようなことをするはずがない。選手の起用や入れ替えを含め、ベンチ内での意思の疎通がうまくできていなかったのではないか。兼任監督の難しいところのひとつだ。
さる21日に引退を表明した谷繁は、来季から監督専任になる。少なくともこれで、兼任監督で直面した煩雑なことの多くは解消される。捕手谷繁が去る中日の投手陣は心配だが、監督谷繁として思う存分、力を発揮してもらいたいと思う。
(野球評論家)