なぜ日本では修業ゼロの“素人”がプロ野球監督になれるのか
指導経験がない監督といえば、来年から指揮を執る巨人の高橋由伸氏(40)、阪神の金本知憲氏(47)もそうだ。
「監督と選手では求められる能力は違う。メジャーではマイナーから指導経験を積んで選手を見る目、決断力、忍耐などを学び、引き出しを増やしていく。日本では野球が最も人気があるプロスポーツで待遇もいいのに、監督の能力という面では一番軽視されている」(前出の友成氏)
韓国に逆転負けを食らったプレミア12の日本代表を率いていたのも、指導経験のない小久保監督(44)だった。近年サッカーやラグビーの代表監督は、海外実績が豊富な者を招聘する。指導実績ゼロの者が日の丸監督になるのは野球ぐらいだろう。
ちなみに、Jリーグの監督だってライセンスが必要だ。なぜプロ野球の監督だけは“素人”でもなれるのか。スポーツライターの工藤健策氏はこう言う。
「日本のプロ野球では、監督を育てるシステムや能力が求められていないからです。フロントは集客や話題性を考え、現役時代に一軍で活躍していた人気選手に監督になって欲しい。ファンもそれを望んでいるし、マスコミも商売になるからそれを支持する。日本ハムは独自の育成システムがあり、育てて勝つという方針があるので、指導力や人気よりフロントの意向に沿った選手起用や戦い方をしてくれる人を監督にする。有名人を呼ぶと金がかかるので、無名の生え抜きコーチを昇格させるケースもありますが、それらは例外です」
プロ野球の監督は、まるでタレントだ。