“優しすぎる大関”琴奨菊 「初賜杯」までの全内幕
10年の壁を打ち破ったのは、31歳のベテラン大関だった。
大相撲1月場所千秋楽、自身初の賜杯を狙う琴奨菊は大関豪栄道と対戦。立ち合いから鋭い踏み込みを見せると、土俵際でこらえた相手を突き落とし。横綱戦を見るまでもなく、日本出身力士として10年ぶり、06年1月場所の栃東(現玉ノ井親方)以来となる優勝を決めた。
故郷福岡県柳川市から駆けつけた両親が見守る中、悲願を達成した大関。
インタビューでは、「両親は、一番つらい時に壁として支えてくれた。本当に感謝の気持ちしかありません」と声を震わせた。
報道陣に囲まれた父の一典さんも「苦しい時も、それを言わないのを知っています。壁として我々が支えた? そうですか、そう言ってくれると、うれしいです……」と、嗚咽を漏らした。
一典さんによれば、「昔から優しい子。特にお母さん思いだった」という琴奨菊。所属する佐渡ケ嶽部屋の関係者は「彼を説明するならば、『優しい』の一言に尽きます」と、こう続ける。