パティシエで頭角 元広島投手がスイーツ界で挑む“白星”
「引退後に飲食店をやる人は多いですが、パティシエになったのはさすがに……僕だけでしょうかね」
笑いながらこう語るのは東京・代官山でカフェを経営しながらパティシエとして腕を振るう小林敦司さん(43)。なんと、元広島の投手である。
1990年にドラフト5位で入団。99年には同姓の小林幹英(現広島投手コーチ)との継投で「あつかんリレー」と注目を浴びた。巨人時代の清原(和博容疑者)に頭部死球を与え、乱闘寸前になったことも。そんな投手が現役引退後、父親の経営する和食店の手伝いをしながらパティシエの道に進んだのは、母親の一言がきっかけだった。
「将来的に自分でカフェを持ちたい憧れはあったのですが、04年に母が静岡・熱海でカフェをやると言いまして。その手伝いをするためにはケーキやデザートも作れないといけない。そこで思い切ってタルトで有名な『キルフェボン』というケーキ店でアルバイトをさせてもらうことにしたのです」
当時33歳。右も左もわからぬまま飛び込んだ「スイーツ界」は甘くはなかった。