代打でプロ1号 阪神・北條は“超変革”金本野球で覚醒近し
「入ると思わなかったので、一生懸命走りました」
高卒4年目の北條(21)が七回、藤川の代打に起用されると、左腕石田の甘いスライダーをライナーで左翼席へ。プロ初安打がホームランとなり、打った本人もビックリだった。
金本監督になってのチームスローガンは「超変革」。その象徴が、開幕から1、2番に座る新人の高山(明大)と高卒3年目の横田だ。そして新監督が「第3の男」として期待しているのが、この北條である。
巨人坂本と同じ光星学院(青森)出身。高校時代は、通算25本塁打を放った強打者で、甲子園通算29打点は清原と並んで史上最多。高校日本代表にも選出され、「坂本二世」と呼ばれていた。12年ドラフトでは、3年春、夏の甲子園決勝で負けた藤浪(大阪桐蔭)に次ぐ2位で指名され阪神入りしたものの、その後は伸び悩んだ。ライバル球団のスコアラーがいう。
「彼は長打力はあるが、腕の使い方に難があり、バットが遠回りしてインコースが打てなかった。選球眼も悪く、ワンバウンドになる変化球に平気で手を出す。今年のキャンプを見ると打撃は徐々によくなってはきているが、グラブさばきやフットワークはまだまだ。鳥谷の後釜として期待されているそうだが、若手を積極的に使う方針を打ち出した金本監督でなければ開幕一軍はなかっただろうね」
昨年までは阪神のOBから「坂本二世なんて嘘つきや!」との声も聞かれた。今季は低評価を覆す絶好のチャンスだ。開幕から3打席ヒットなしで「(今日)打たないと終わるかなと思っていた」という北條。危機感をバネにできれば面白い打者になる。