同じ“アマ王者”でも実力差歴然 日米ゴルフ指導何が違う?
【東建ホームメイドカップ】
男子の国内開幕戦には、昨年、史上最年少記録(17歳51日)で日本アマを制覇した金谷拓実(17)が出場して注目された。
大会前に「まずは予選通過。そしてトップ10入りしたい」と目標を掲げたが、初日に5オーバー105位と出遅れると、2日目もスコアを崩して通算9オーバー96位とあえなく予選落ちした。
日本アマ王者とはいえ、しょせんアマチュア。プロの足元にも及ばないのは当然と考える向きも多いだろう。しかし、海外は違う。先週のマスターズには、昨年の全米アマ王者のB・デシャンボー(22)が出場し、2日目には首位を走るJ・スピースに一時、1打差まで迫るプレーでパトロンを沸かせた。
結局、21位のベストアマに終わったが、それでも世界のトップクラスですら、予選通過できなかったプロが多かっただけにデシャンボーのプレーが光った。同じアマチュアのトップでありながら、日米でなぜこうも実力差があるのか。ゴルフジャーナリストの菅野徳雄氏がこう言う。
「教育の違いです。米国は学生にゴルフの基本を徹底的に教えます。止まっているボールを真っすぐ同じところに打つためには、どうすればいいのか。限りなく正確なショットをするために、科学的な理論まで学ぶ。朝から晩まで1球でも多くボールを打つという日本の学生とはそこからして違う。メンタル面での指導も充実しているので、プレッシャーがかかっても、メジャーのような舞台でも対応できるようになる。テクニック、メンタル、フィジカルと各専門の優秀なコーチが大学にいて、それを徹底的にたたき込みます。ですから卒業する頃にはプロと同じレベルのプレーができ、プロ転向ですぐに稼ぐことができる。ところが日本の場合、正しい知識を教える指導者がいない。スイングの基本が何かも分かっていないから、プロになってからスイング改造をしたりと試行錯誤を繰り返している。同じアマタイトルを手にしていても、その実力差は日米で天と地ほども離れているわけです」
世界はパワーゴルフ時代に突入しており、300ヤードを超すビッグドライブは当然だ。オーガスタの15番パー5で334ヤードの飛距離をマークしたデシャンボーは身長185センチ、片や金谷は170センチ。体格でも全米アマに大きく差をつけられているのが分かる。