リオ五輪出場かマスターズVか 錦織圭を悩ます周囲の思惑
左脇腹痛のためウィンブルドン4回戦(対チリッチ)を途中棄権した錦織圭(26)。その後の会見でリオ五輪に関してこう言った。
「松山君が出ないというのを(ネットで)見て、僕もあんまり出たくないなと思いました。会うのを楽しみにしていたので」
錦織は現在、世界ランク6位だが、グランドスラムはもちろん、その下の格付けのマスターズ1000すら勝っていない。過去に勝ったのは500シリーズまでだ。したがって今季、最低限の目標がマスターズ1000を制することだという。
中でも狙いはロジャーズ・カップ(7月25日からカナダのトロント)とウエスタン&サザンオープン(8月15日から米シンシナティ)とか。
クレー(赤土)の全仏を取りこぼしたいま、錦織が得意にしているのはハードコート。中学時代から米国育ち。真夏に北米大陸で行われるハードコートの2試合は格好の標的なのだ。
リオ五輪(8月6~14日)はこの2試合のちょうど中間にあり、今年からツアーポイントも換算されなくなった。錦織はいま左脇腹を痛めているものの、五輪に出るとなれば嫌でも精力を注がざるを得ないし、その反動で前後の2試合がおろそかになるとすれば、ハードコートのマスターズ1000は10月の上海ロレックスまでない。体に不安を抱えるいまの錦織に五輪でメダルを狙えと注文するのは、今季を捨てろと言うに等しいのだ。