全勝優勝で綱取りへ 豪栄道を襲う未曽有のプレッシャー
奇跡か実力か。9月場所で自身初の賜杯を抱いた大関豪栄道(30)。カド番力士の全勝優勝は史上初だ。
「(14日目に優勝が決まって)気持ちが切れたけど、(千秋楽は)控えに入った時点で気持ちが入った。大満足です」
と、安堵した豪栄道。来場所は綱とりがかかるが、果たして昇進は可能か不可能か。
ある親方は「今場所の内容なら可能でしょう」と、こう話す。
「昨年5月に剥離骨折した左肩も癒え、ようやく持ち味である攻めの相撲が取れるようになった。受けに回ると脆いが、攻め続ける限りはそうそう負けませんよ」
しかし、この親方は「問題は実力を100%発揮できるかどうか、ですよ」と、続ける。
「綱とりともなれば、場所前どころか秋巡業から連日、多数の報道陣に囲まれることになる。毎日のように『綱とり』の言葉も聞かされるでしょう。大関で優勝経験5回の魁皇(現浅香山親方)でさえも、『自分のペースで調整ができない』と苦しみ、2場所連続優勝はかなわなかった。まして、豪栄道にとっては初めての経験。大関に昇進した時も、直前の場所は8勝7敗。誰も注目せず、大きな重圧がないまま昇進していますからね」