日馬富士に逆転白星も 豪栄道「伝家の宝刀」多用の危うさ
起死回生の逆転劇だった。
結びの一番で激突した大関豪栄道(30)と横綱日馬富士(32)。両者、仕切りからにらみ合い、行司が「下がって」というしぐさをしたほど。気迫あふれる2人に、国技館も緊迫感に包まれた。
内容は立ち合いから横綱が圧倒。豪栄道は悪癖の引き技もあり、横綱得意の速攻になす術なしかと思われた。しかし、土俵を割る寸前、豪栄道の「伝家の宝刀」首投げが一閃。日馬富士を鮮やかに投げ飛ばし、全勝をキープしたのだ。
これで自身初の賜杯はほぼ確実。来場所は綱取りとなるが、しかし、現状を見る限りでは横綱という器ではないだろう。
得意技の首投げは、いわばイチかバチかの捨て身技。空振った揚げ句に隙だらけになることも珍しくない。豪栄道はこの技を多用しているが、それもこれも不利な体勢をしのいで勝つという相撲ができないからだ。これでは横綱相撲などできるわけがない。
仮に豪栄道が昇進したとして、「困ったら首投げ」では長く横綱を務めることなど無理な話。確かに歴代横綱も「こうなったら負けない」という一芸に秀でていたが、それはあくまで左四つなどの型の話。バクチ技が得意な横綱なんて、大相撲ファンをうならせることはできない。