中日荒木2000安打達成秘話 メジャーも認めた北京での一発
「『練習は嘘をつかない』という言葉は、荒木のためにあると思う。練習に嘘をつかれた選手は山ほどいますからね」
中日の鈴木孝政OB会長がこう言っている。
3日の楽天戦で史上48人目の2000安打を達成した中日の荒木雅博(39)。通算33本塁打は名球会メンバーでは最少。中軸を打ったことがない選手の大記録も初めてだ。1996年のデビュー当時から知る同会長の言葉通り、荒木はプロ入りから22年間、地道に試合に出続け(2126試合=5日現在)、コツコツと安打を積み重ねた。
「その時々で素晴らしい指導者に恵まれました」という荒木は二軍での駆け出しの頃、当時の監督、コーチだった仁村薫、徹兄弟から徹底的にしごかれた。試合で二塁から本塁を狙って走塁死した後、一人泥まみれになりながら、何度も二塁から本塁へヘッドスライディングする練習をしたこともある。不条理にも見える練習でも素直に取り組み、猛練習に耐え得る体力を養ったのはこの時期だ。
守備走塁は一級品になったものの、一軍でレギュラーを掴むための課題は98年にスイッチに挑戦したこともある打撃だった。2003年オフに落合監督が就任。「長所を磨け」との方針の下、守備走塁でレギュラーの足がかりをつくった。キャンプではオレ流ノックに食らいつきながら、手がマメだらけになるほどバットを振り込んだ。特打は鬼気迫るものがあり、60分、90分と打ち続けるのはザラだった。