帝王ニクラスも苦言 全米OPコース様変わりに協会の苦悩
■「かつての大会と異なってきた」
かつて4大メジャーにはそれぞれ個性があった。全米オープンといえば深いラフが特徴でショットの正確性が問われた。飛ばし屋より、ボールが曲がらないショットメーカーが有利な大会だった。マスターズは「ガラス」と称される高速グリーンの攻略が最大の見どころ。全英はリンクスコースで強風との戦いを強いられる。最も個性がないといわれる全米プロですら最近は、距離の長い比較的新しいコースで開催されている。
さらに、古い名門コースは東海岸にほぼ集中しており、「全米オープン」の名にふさわしいようにアメリカ全土で開催するには、それ以外の場所に距離の長い新設コースを加える必要があったのだろう。
ちなみに2015年の開催コースだったチェンバーズベイGC(ワシントン州)も、07年にオープンした太平洋岸北西部に位置するパブリックコースだった。
この全米ゴルフ協会(USGA)の会場設定について、全米オープン4勝の帝王ことJ・ニクラスは、「USGAは過去の素晴らしさから距離を置きつつある。それが良いことか、悪いことかはわからないが、かつての大会とは異なってきたことは間違いない」と苦言を呈している。
だが、USGAがエリンヒルズを会場に選んだ最大の理由は、何といってもパブリックコースであることが大きい。
(ゴルフライター・吉川英三郎)