恵まれた組み合わせ 早実清宮は“最後の夏”に甲子園なるか
準決勝は第4シードの駒大高か。早実はこの駒大高にも春の準々決勝で14―2の五回コールド勝ちを収めている。美山氏が続ける。
「ただ、駒大高の左腕・吉田は春以降、急成長しています。直球は130キロ前後とスピードはないものの、落差の大きいタテのスライダーが武器。清宮は昨秋に日大三の桜井から5三振を食らったように、左腕のスライダーを苦手にしている。ナメてかかると足元をすくわれかねません。他に準決勝で当たる可能性があるのは、ノーシードで好投手の赤星擁する日大鶴ケ丘、昨夏4強のメンバーがほとんど残る創価。ただ、早実にとって気が抜けないのは準決勝から。初戦から強豪校相手の激戦区のブロックに入った日大三と比べればかなり違います。早実は決勝まで『油断』が一番の敵になるでしょう」
急造エースに清宮早実の命運が託される。この点はどうか。横浜高の元野球部長・小倉清一郎氏がこう言った。
「早実は軸になる投手がいない。1カ月でエースになるのだからセンスは抜群なんでしょう。経験がないだけに1試合ごとに成長を重ねていく可能性はあります。しかし、積み重ねたものが少ないため、2、3点を取られると途端に自信を失います。投手としての練習量が圧倒的に足りず、バテる危険性も高い。もろ刃の剣といえるでしょう」