格の違いを見せること…プロの投手の意地が清宮を育てる
7球団が競合した末に日本ハムが交渉権を獲得した清宮幸太郎が、1年目から一軍で活躍できるかどうかは分からない。
プロで成功する条件をひとつだけ挙げるとするなら、私は「順応性」だと答えている。どんなに能力が高くても、どんなに素質があっても、これがなければ、なかなか才能は開花しない。プロの環境、人間関係、相手投手のレベルにファンの視線……あらゆるものに柔軟に対応するセンスがあるかないか、これがプロで数字を残す第一条件だと思っている。そしてこの順応性は、教えてできるものではなく、スカウトが見抜けるものでもない。
清宮は小学生の頃から名を馳せ、高校では3年間で111本の本塁打を積み上げた。幼少期から注目を集める中で、それぞれのステージで結果を出してきたとはいえ、プロはまた別次元である。
もし彼がこれまで通りの順応性を発揮し、順調に一軍の舞台に這い上がってきたとき、対戦する投手に注文がある。プロの凄さ、レベルの高さを清宮に見せつけてやって欲しい、ということである。私は各球団で投手コーチを務めていた際、前評判の高い新人を打席に迎えると、バッテリーには決まって「坊やに変化球はいらん。真っすぐ一本。格の違いを見せてやれ!」と指示を出した。