広島1位中村奨成 女手一つで育てた母は“元祖カープ女子”
■ゴロよりフライ
5年生になると急激に体が大きくなり、頭角を現し始めた。そこに「怪物」の原点となった野本監督の指導方針がミックスされた。
「バットを思い切って振ってゴロではなく、フライを打つ。できるだけ遠くへ飛ばそうと。フライの凡打はOK。ホームランと紙一重と言いました。奨成は足があるので、左打ちにして内野安打で稼ごうという指導者がいても不思議ではありませんが、ウチはゴロを転がして相手のエラーを誘い、足で点を取るという方針ではありません。足があるなら、打球を飛ばしてランニングホームランで1周してこいと。1対1の勝負に勝つことが野球の原点。奨成には右でドカンと大きいのを打てる子になって欲しかった。甲子園でホームランを打った時のスイングの軌道は、当時とほとんど変わっていないんです」(野本監督)
中学時代に所属した軟式野球チーム「大野シニア」の田中一志代表(55)が話を引き取る。
「小6で入団した当時から肩が強かった。試合でイニング間の投球練習の最後に捕手が二塁へ送球するでしょう。あれを見れば相手チームは盗塁を仕掛けてきません。中2の時に投手をやりたいと言うのでやらせたら134、135キロ。速いけどストライクが入らない」