広島1位中村奨成 女手一つで育てた母は“元祖カープ女子”
今夏の甲子園で1大会6本塁打を放ち、PL学園・清原和博の記録を32年ぶりに更新した「怪物」こと中村奨成(18・広陵)は、広島県西部の瀬戸内海に面した港町、世界文化遺産の厳島神社がある廿日市市に育った。母、妹、祖父、祖母の5人家族。自宅は広島カープの大野寮から徒歩5分という近所にある。
中村が3歳の時に両親が離婚。看護師として女手一つで育てた母の啓子さん(45)は、熱狂的な広島ファン。今でいう「カープ女子」だ。
「子どもに野球以外させたくなかった」と言う啓子さんに連れられた中村は、小学1年で軟式少年野球チーム「大野友星」に入団。野本賢治監督(50)は当時をこう振り返る。
「性格はやんちゃというか、誰かにちょっかいを出して逆に泣かされたり、元気で明るい子でしたよ。お母さんにはベッタリで、甘えん坊なところもあった。お母さんが『カープの試合(ナイター)を見に行くので(午後)3時にあがります』と言って練習中に奨成を連れて帰っちゃうこともありました。母子家庭といっても、『カッコいいから』とハイネックのアンダーシャツを買ってもらったり、キャッチャーミットにしても、チームの物があるんですが、奨成はお母さんに買ってもらった自分のミットを持っていました。内情は分かりませんが、表向きは苦労しているようには見えませんでしたね」